在宅SE活用インタビュー
産業医とともに健康管理システムを開発
在宅エンジニアの自社サービスへの活用
今回は在宅エンジニアと直接業務のやりとりをして下さっている現場の方にお話をお聞きしました。
ユースタイルラボラトリー株式会社
主な事業内容:
産業医監修の従業員健康管理システム「MEiN KOMPASS(https://meinkompass.jp/)」を自社開発。
従業員100名以上の企業を対象に一般販売を予定。
https://eustylelab.co.jp/
ユースタイルラボラトリー株式会社
石川 隆 様
事業内容についてお教えください
産業医から依頼を受けて、主に従業員100名以上規模の企業を対象とした、従業員の健康管理システム「MEiN KOMPASS」を自社開発しています。健康診断やストレスチェックの結果、残業等の長時間労働のデータを一元的に管理できるシステムです。産業医が積極的に関わることで、従業員の健康維持につながり企業に利益をもたらすことが目的です。
クリニックも運営されている産業医の意見を取り入れながらシステムを開発。各企業と契約している産業医が現場で使いやすく、かつデータを管理する人事担当者とのやりとりもスムーズにできるよう考慮されています。基本的に、どの企業でも対応できる汎用性の高いシステムです。
在宅エンジニア活用のきっかけを教えてください
当社の開発スタッフが退職することとなりスタッフが必要となった時、ちょうどタイミング良くコネクティルさんから案内が届いたことがきっかけです。その時ご提案いただいた在宅エンジニアのAさんのプロフィールシートから、「この人は、できる人だろうな」とわかったので、すぐにお願いしました。
こちらの求めていた人材は、「エンジニアで、言語はTypeScript、データベースはMySQL、フロントエンドはNext.jsを使用し、バックエンドはTypeScriptでかつサーバーレスで対応可能」という要件でした。もちろん、全くピッタリというわけにはいかないのですが、在宅エンジニアのAさんのスキルや履歴から、経験のない言語でも対応してくれるだろうと思えたことが、アサインの決め手でした。
現在、ZAITの在宅エンジニアさんは3名アサインいただいています。
2022年4月から在宅エンジニアのAさんに参画いただき、とてもしっかりした方だとすぐにわかり、開発業務全般をお任せすることができました。その仕事ぶりから、Aさんにはチームリーダーをお願いして、2022年7月からもう1名在宅エンジニアのBさんに参画をお願いすることにしたのです。そして2023年3月からは、開発を加速させるために、さらにもう1名在宅エンジニアのCさんにもアサインいただく運びとなりました。
“副業の在宅エンジニアチームが即戦力に
「使いやすい」健康管理システムを実現”
在宅エンジニアのパフォーマンスはいかがですか?
チームリーダーのAさんは、エンジニアの私から見ても優秀です。産業医から私がヒアリングしたことをもとに、「こういうふうにしたい」と希望を伝えると、仕様や影響範囲を考慮してスケジュールも組んで進めてくれるので、開発に関しては基本的に全てお任せしています。スケジュールも予定通りに進み、そのパフォーマンスにも満足しています。またチームリーダーとしても他のエンジニアさんへの指示を出し、コミュニケーションをとりながら作業を進めてくださり、活躍いただいています。
在宅エンジニアのBさんはPHPの経験が長く、「言語の違いは乗り越えてもらえるかな」と考えて、TypeScriptでの開発をお願いしています。とても慎重な方で、はじめは工数も多めに申告してくださっていたのですが、すぐにその必要もなくなり、スムーズに開発に取り組んでいただいています。新しく参画した在宅エンジニアのCさんへの開発内容に関する説明もお任せして、ソースコードレビューも担当していただいています。Cさんと作業時間が合わないため、時間を昼から夜にずらすなどして融通をきかせてサポートしていただいたこともあり、助かりました。
在宅エンジニアのCさんは、TypeScriptができて、フロントエンドもバックエンドも対応可能というスキルから、開発の加速のために参画いただきました。
全体としてチームワークも良く、私が作りたいと考えていたシステムが出来上がりつつあるので、結果に満足しています。
近くにいない相手に仕事を任せることに不安はありませんでしたか?
当社の社員も全員リモートだったので、全く不安はありませんでした。
開発スタッフは、作業内容が決まっていれば、場所はどこでも問題はないと考えています。
また今回アサインいただいた在宅エンジニアさんは、3名とも副業として参画いただきました。「メインでの仕事に支障がない」という前提がありますので、その点でも責任を持って取り組んでもらえると判断しました。
業務管理やコミュニケーションで工夫されていることはありますか?
週に1回、チームリーダーとしてのAさんと進捗や課題について、Google Meetで確認をしています。
業務管理については、在宅エンジニアのAさんがいろいろなツールを使用して随時確認できるようにしてくれているので、細かいチェックはしていません。
コミュニケーションはチャットツールのDiscordを活用しています。以前はSlackを使用していたのですが、フリープランでは90日で内容が消えてしまい、有料サービスにするメリットを感じなかったためツールを変更しました。チャットの内容は、仕様に関係するスタッフで共有しているので、私も見ることができて、私から書くこともあります。
在宅エンジニアさんは、それぞれ東京・新潟・三重と住む場所は違いますが、フルリモートでの問題は特になく、スムーズに稼働しています。
在宅エンジニアを活用してみた結果と今後の展望をお聞かせください
ZAITの在宅エンジニアさんに参画いただいたプロジェクトは、産業医と私が作りたいと考えていた<産業医が使いやすい企業向け健康管理システム>として仕上がってきました。その内容に満足しています。
今後このシステムは、一般に販売する予定です。開発業務が落ち着いた段階で、バグ修正等の運用のフェーズに入ることになります。特に機能を追加する予定はないため、現在月間100時間程度でアサインいただいているところを今後は、例えば40~50時間に変更して参画をお願いすることになるかもしれません。在宅エンジニアさんご本人のご希望もあるかと思いますが、時間数等の融通を効かせていただけるところもZAITサービスのメリットだと感じています。
“ヒアリング力・提案力・柔軟性が
自社開発サービスのポイントに”
自社サービスの開発で大切にしていらっしゃることはありますか?
「役に立つこと」が良いシステムの条件だと私は考えています。きちんと動くことはもちろんですが、「使えるシステム」を作ってこそ、意味があるのです。
私は今までに、クライアント企業での打合せの最中に「クライアントにとって使いやすいシステムを作りたい!」という気持ちから、自社の営業担当者とシステムの内容を巡って本気でケンカになったことも一度ではありません。
実は、「ユーザ-にとって使いやすいシステム」には正解がないのです。ある人にとっては使い勝手がいいかもしれないけれど、また別の人にとっては使いにくいかもしれない。正解がわからない中で、かつ意見の相違もある中で、自分たちが決めて作っていくのです。
そのためには、ヒアリングする力・自分の意見を提案する力・調整する力・修正に対応できる柔軟性も必要となります。
そして「使いやすいシステム」を作るためにひとつひとつ決めていく基準は、「自分がエンジニアとして今までやってきたことの中にある」というのが持論です。
私自身、インターネットの黎明期で「ブラウザの漢字変換や予測変換のシステムを作る」という頃から、その時々の最先端でシステム作りに携ってきました。弥生会計・弥生給与・販売管理・人材管理・採用管理・スマートフォンのチャットツールサービスの立ち上げ等、様々な開発を手がける中で、たくさんのことを吸収してきたのです。
先輩エンジニアの話ですが、今でこそスタンダードとなった弥生会計を開発したときも、当時は「複式簿記で伝票から複数の帳簿に手書きで転記する」という常識。異色の発想でした。「会計」を知らなかったからできたこととも言えるでしょう。「データ構造はこうなっているから、システムをこう作れば、仕訳日記帳を入力するだけで、あとは自動化できるよね」と。
「何かをしたい」という人が必要としているシステムを「どうすれば実現できるのか」と考えることが、私は好きなのだと思います。
在宅エンジニアの課題はありますか?
在宅という点での課題は特にありません。
ただしエンジニアとして、「クライアントが何を必要としているのかをヒアリングする力」と、「どうすれば実現できるのかを考えて提案する力」等、プラスアルファのスキルが必要になるだろうと感じています。なぜなら、プログラムを書けない人が指示を出しても、AIが指示をもとにシステムを構築してくれる時代が、遠くなく来ると実感しているからです。「指示されたことをやる」という作業は、今後AIのものとなっていくでしょう。
例えば、クライアントが「このリストがほしい」と依頼してきたとします。そこで、「なぜそのリストが必要なのか」「そのリストをどのように使うのか」「そのリストで本当に実現したいことは何なのか」と、クライアントが話していないことも掘り下げてヒアリングしていくことが必要です。前後の情報をキャッチすることで、「そのリストではなく、こちらの方がいいのではないか」と提案する場合もあるかもしれないし、逆に「そのリストでいいですね」となるかもしれません。
クライアントが「ほしい」と依頼していることが「本当にしたいこと」とは違う場合もあるのです。
また、クライアントの業務内容を知る必要もあります。どういう業務で、どういう手順で何をどうするのか…と細かくヒアリングしていくことで、「使えるシステム」「使いやすいシステム」が実現するのです。
クライアントが解決したいと考えている課題がある。その課題に対して、エンジニアとしての経験を持って接すると、違った視点で違った世界が見えてくる。そのため、全く違う角度からの提案もできるのです。クライアントも気づいていない「本質的な部分で必要としていること」の実現にもつながります。これは今のところ、AIにはできないことなのです。
ZAITサービスはどのような案件に活かせると思われますか?
自社サービスの開発に向いているのではないでしょうか。
受託の開発では、「この仕様で作ってください」という先方の指示通りに作ることが最も重要な仕事となります。
いっぽうで自社開発は、自分たちで考えて作っていかなければなりません。ユーザーの状況を見て、「こういうシステムがいいだろう」と判断できる高いレベルの能力が必要です。単に言われた通りに作るのではなく、「こういう事業をするならこういうサービスが必要で、こういう機能が必要になる」と考えながら自分の意見をしっかりと提案できる人材に魅力を感じます。
提案をするには、これまでの経験も必要となるでしょう。他社の人材サービスでは、経験の浅いエンジニアに対して高い費用を提示されることも多く、納得感がありませんでした。その点、コネクティルさんのZAITサービスでは、即戦力として満足できる人材をご提案いただきました。また各在宅エンジニアさんのこれまでの経験が違うので、目線も違う。目線が違うと意見も違うので、意見の違いもメリットになると感じています。
さらに、自社サービスの開発では、柔軟性も必要です。作った機能がすぐに「必要ない」と言われることも頻繁にあるからです。法律の変更と連動してシステム内容を変更していくケースも含め、作りながら修正していくことに抵抗がなく、次々トライできる姿勢も求められる資質でしょう。
ZAITの在宅エンジニアさんたちは、こちらの変更の要望に対しても、すぐに影響範囲を調べて対応してくださいました。それぞれのご経験の中から、その都度ご自身の意見もご提案いただき、こちらの要望に沿って開発を進めることができましたので、その点でも満足しています。
石川様 取材のご協力ありがとうございました。
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